もり小児科院内便り みどりまちキッズ
【医師より】
暖かくなってきましたが、まだインフルエンザAや嘔吐下痢症などが流行中です。これからRSウイルス感染症などが流行する可能性があるので、注意が必要です。
【看護師より】
2023年4月から子宮頸がんワクチンの9価HPVワクチン(シルガード9)が定期接種(無料)となりました!

子宮頸がんとは・・
子宮の入り口に発生するがんです。
主な原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因と言われています。
発症年齢は、20代後半から多くなります。

HPV(ヒトパピローマウイルス)とは・・
男性にも女性にも感染する、ありふれたウイルスで、主に性交渉で感染します。
HPVには200種類以上の型があり、この型の違いによって発症する病気が異なります。
子宮頸がんの約65%はHPV16型と18型が原因です。

9価HPVワクチン(シルガード9)とは・・
従来の4価ワクチン(ガーダシル)がカバーしているHPV型4種類に、5種類を加えた9種類の型のHPVを予防します。
これにより、日本人の子宮頸がんの原因の88.2%をカバーすると言われています。
(ガーダシルでは65%のカバーでした。)
※これまでに2価ワクチン(サーバリックス)
または4価ワクチン(ガーダシル)を接種した人も、残りの回数を9価ワクチンで接種を行うことができます。
この場合3回接種となります。

接種対象は・・
◇小学校6年生〜高校1年生相当の女子
◇キャッチアップ対象者:
1997年4月2日〜2007年4月1日生まれの、過去に接種機会を逃した方でHPVワクチン3回の接種を完了していない人。
※期間は2025年3月までです。

回数及び標準的な接種間隔・・
子宮頸がんワクチン回数と接種間隔
※1・2・3については猶予期間があります。

HPVワクチンの副反応は・・
接種した後に発熱したり、腫れたり、しこりがでたりすることがあります。ほとんどが2〜3日で自然に消失します。まれにめまいやふらつき、失神が起こることがあります。



2013年にHPVワクチンを接種後、体の痛みや運動障害など多様な症状を訴える人が相次ぎました。その後の調査で、同年代の接種を受けてない人にも同様の症状がみられていることから、子宮頸がんワクチンと体の痛みや運動障害は関連があるとは言い切れないことがわかっています。
また最近ではワクチン接種による痛みや不安・恐怖によるストレスが、これまでの環境や経験によって、めまいや失神などの症状を出現させる可能性もあると言われています。
注射が苦手な方や不安が強い方は、痛みを和らげる麻酔テープ(有料)もありますので、事前にご相談ください。
HPVワクチンは世界の120か国以上で使われており、WHO(世界保健機構)も優れた安全性と有効性があることを示しています。



日本では、年間約11,000人が子宮頸がんにかかり、毎年約2900人が亡くなっています。
HPVに感染した人が必ず子宮頸がんにかかるわけではありませんが、感染を防ぐことががん予防の手段として有効です。この機会にワクチンについて正しく理解し、20歳を過ぎたら子宮頸がん検診も併せて、お子様の将来を守りましょう。

参考:厚生労働省HP、日本産婦人科学会HP
        子宮頸がん予防情報サイト(MSD製薬)
【今月の土曜日午後担当医師】
5月6日・20日 森
5月13日・27日 木下